くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの40歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

『カーネル・サンダース自伝』感想

 一昨年に日本KFCから公開された『世界で最も有名なシェフ カーネル・サンダース自伝』をようやく読みました*1。この自伝は日本KFCのサイトから無償でダウンロードできます。


きょうもカーネルの調理法(日本KFC)


 いやあ、おもしろい。幼いころに父を亡くし10歳から農場で働き始め、そこからさまざまな職を転々とし、カフェやモーテル経営を手がけ成功するが、第二次世界大戦後にいろいろあってほとんどの文無しになり、65歳から月105ドルの年金を元手にフライドチキンのフランチャイズ事業に乗り出して、成功していく様はただただ「すごい……」の一言。

 記述は淡々としている(特に前半部分)。ただし、後半――フライドチキンのフランチャイズ事業と自信の経営哲学を語る部分――になると熱い語り口になっていて、事業に関しての並々ならぬ情熱を感じることができます。
 

 まあ、体力的にも精神的にもカーネル・サンダースがタフだったのは間違いない。90歳まで生きたのもその証拠のひとつだし、65歳からフランチャイズ事業の営業をするために車中泊をしながら長距離を運転するエピソードもすごいよなあ。カーネル・サンダースはこの自伝の中で自身の人物評としてジョン・ブラウン*2のサンダース評を引用しているので、ここでも少し引用してみましょう。

カーネルは普通の人ではないですよ。彼が成し遂げたことを同じようにするには、ヤル気と野心と主体性がなければ無理です。彼は人と違うのです。毎朝5時に起きて、夜の9時まで自ら車を運転して全国を走り回り、どんな仕事も大きくもなければ小さくもない、と思えるような男は只者ではないでしょう? カーネルのような男がいたからこそ『ケンタッキー・フライド・チキン』が築かれました。私はカーネルのような人間に、ほかに出会ったことがありません。彼のような人間と関わり合いになれたことは私の人生におけるかけがえのない経験のひとつです。
 カーネルのことは、本当に尊敬しています。彼はカッとなるところがあり、付き合いやすいというわけではないかもしれません。ですが、それを補って余りあるほどの愛すべき人間です。カーネルを知っている人、関わった人は誰もが、例えどれほど彼に腹を立てたことがあったとしても、彼に対する深い愛情を持っているのです。これはもう、どうしようもないのです。

 
 典型的なワンマンオーナーって感じ(笑) ただ、従業員には高い給料を支払っていたそうなので*3気前は良かったのでしょう。

 
 あと、本書を読んで気づくのがビスケットへの情熱。カーネル・サンダースは焼きたて熱々のビスケットを提供するかにこだわっていたらしい。私もたまにケンタッキーフライドチキンを利用するが、ビスケットは頼んだことがなかった(だって、フライドチキンとビスケットが合うとは思えないもん)。ここまでビスケットについて力説されると、食べてみようかなという気になる。今度フライドチキンを買うときには一緒にビスケットを頼んでみようかな。

*1:タブレットを使うとpdfファイルを読むのが捗る。タブレットを買って本当によかった。

*2:74歳の時に事業を売却した先の人

*3:もちろんこれは本人が書いていることなので実際はどうだったのかは分からいけど