本書の構成
パート1 政治と経済
第1章 組織された集団
- 鉄の三角同盟
- 少数者たちが支配する?――多元的民主主義
第2章 官と民の関係
- 規制緩和で何が変わったか?
- 市場の失敗・政府の失敗
第3章 大企業と政治
- 大企業が政治を支配している?
- 大企業の構造的な影響力と政治的紛争
パート2 政治と社会
第4章 選挙と政治
- 政策で選挙は戦えるか?
- 政策に代わる手がかりは?
第5章 地方分権
- 自治体には2つの役割がある
- 国と地方の相互依存
第6章 マスメディアと政治
- マスメディアは政治を動かす?
- マスメディアは誰の味方か?
パート3 政治の仕組み
第7章 国会
- ねじれ国会
- 国会の影響力
第8章 内閣総理大臣
- 総理大臣と大統領
- 総理大臣の影響力
第9章 官僚
- 大臣と官僚のバトル
- キャリア官僚のキャリア
パート4 政治と世界
第10章 冷戦の終わりからテロとの戦いへ
- 戦後の国際国境
- 日本の対外政策
第11章 経済交渉
- 貿易は世界を幸せにするか?
- 経済交渉の行われ方
第12章 国境を越える政治
- ビリヤード・ゲームのような国際政治
- 裸になる国家
本書は題名―「はじめて出会う政治学」―の通り、政治学を学び始める人へ向けた入門書です。書き方は平易で簡潔。また内容も具体的な記述から始まっていて、頭に残りやすいと思います*1。
だから、この本をミクロ経済学の入門書だと思う人はいないと思います(笑)。でも、本書の章立てをご覧下さい。鉄の三角同盟*2、官と民の関係、規制緩和、市場の失敗・政府の失敗、経済交渉・・・・・・どこかで見たことある単語ばかりでしょ?
もちろん本書は経済学の入門書じゃないから、数式、グラフは出てきません。でも、行動を分析するために費用、便益の概念で分析していたりと、経済系しか学んでいない人にもすんなり内容が頭に入っていくと思います。
本書は入門書なので、ほとんどの人にとっては当たり前の内容と言えるかもしれません(一般教養レベルと言えばいいでしょうか)。例えば、鉄の三角同盟は強固だが絶対的なものではない。大企業や業界団体は政治に影響力を及ぼしているけど、絶対的な影響力を及ぼしているわけではない。マスメディアの影響力は大きい。でも結構気まぐれな存在。その気まぐれさが影響力大きさを実際以上に大きく見せているのかもしれない。等々。
多くの方にとっては、「そんなん常識じゃん」と言う内容ですが、ネット上の言説を見ていると、必要以上に軽視したり、逆に絶対的な存在として扱っている言説があったりするので、この本を読んで一般教養レベルの政治学の概念を習得しときたいものです。
- 作者: 北山俊哉,真渕勝,久米郁男
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2009/04/01
- メディア: 単行本
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