くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの40歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

社会学者の古市先生を見直した。だけど……

 ただいま科学未来館で「波瀾万丈!おかね道」という企画展をやっています。行動経済学などの知見を生かして、人間の認知のゆがみを明らかにしていこうという企画です。

 さて、その特設サイトに「私のおかね道」というコーナーがあります。これは実際に体験してもらった人に感想を述べてもらうコーナーで、糸井重里氏や毛利衛氏など有名人が感想を述べています。その中で社会学者の古市憲寿先生が感想を述べています。

では、古市さんが考える「おかね道」とは?

 僕自身は、「幸福イコールお金」だと思っています。なぜなら世の中のほとんどのことは、意外とお金で解決できるからです。例えば時間が足りないときは、お金があれば移動手段を選ぶことができる。仕事や人間関係の悩みも、別の場所に移動してしまえば解決できるでしょう。一生困らないくらいのお金が目の前にポンとあったら、ほとんどの悩みは消えるんじゃないでしょうか。現在の社会はお金を基軸にできていて、しかもそれで世界が回っている。その意味で、お金とはいろいろな問題を解決できる汎用性の高いツールなんです。
「お金よりも心の豊かさが大切」という言い方は、好きじゃないですね。お金でこれだけの悩みが解決できてしまう以上、心の豊かさなどと言う前に、まずはお金のことを考えればいいんじゃないかと思います。「心の豊かさ」を考えるのは、お金の問題が解決した後で遅くありません。

これからの社会で、私たちはどんなふうにお金に向き合えばいいでしょう?

 基本的に、個人に期待しても仕方がないです。人はジコチューであり、フリーライダー(他人の利益にタダ乗りをする人)です。そんな人に道徳を説いても限界がある。だから社会の仕組みで解決していくしかない、というのが僕の考えです。
 例えばシリコンバレーでは、どんな資源ゴミでも1つのゴミ箱に入れればいいそうです。牛乳パックもペットボトルも分別しなくていい。分別は行政が担当し、分別する人を雇うんです。お金は必要になりますが、雇用を創出できるし、捨てる人にとっても負担が軽い。つまり世の中のいろいろな問題は、お金と仕組み(社会制度)を組み合わせることで、解決に導くことが可能なんだと思います。


 お金で解決できることはお金で解決しよう! 道徳説くより社会の仕組みを調整しよう! いやあ、まったくその通りだと思います。

 ……だけど、古市先生は著作やテレビでこんなこと言ってたかなあ?

 
 あと、ギリシャ出身で日本の外資につとめているディミトリオスさんの感想もおもしろかった。

 そもそも、直接知らない人のために自分のお金を出すのは控えたいです。税金もそう。出しても政府がうまく使ってくれるかどうかわからないでしょう? だったら自分でとっておきたいと思います。ちなみに「税金回避」はギリシャのナショナル・スポーツといわれているんです(笑)。

 お金をどうするかではなく、「政府をどれだけ信頼できるか」が鍵ではないでしょうか。政府が本当にちゃんと使ってくれるなら、みんなお金を出すでしょう。ギリシャでは政府を信頼できないから、人々はタダ乗りをする(=税金を回避する)、そして、どうせみんなタダ乗りをしているんだからと、政治家は適当な使い方をする......と、負のループに陥っている。
 資本主義における競争は、お金をまわしていくうえで理想的なシステムだと僕は思います。ただ、うまく競争に乗れない人を支援する仕組みは必要ですよね。その役割を政府がきちんと果たすことができればいいんじゃないでしょうか。


 日本はどうなんだろうか?