遅ればせながらようやく読みました。本書の主張は、訳者解説でも書かれているとおり「財政政策と金融政策をもっと積極的にうってこの不況から抜けだそう!短期的な財政赤字なんて気にする必要なし!」という極めてシンプルな主張です。
訳文もいつもの山形訳からすればずいぶん固いものとなっています。文章も辛辣なところは本当に辛辣。それだけクルーグマン先生が怒っている証拠なのだろうけど、山形浩生氏が訳者解説で指摘するようにこういった文章が敵を作ってしまうんだろうなと思ってしまう次第。
さて、本書は日本ついて書かれている部分は非常に少ないのですが、日本に住んでる私たちから見ればどこかで見たような議論ばかり。どこの国も変わらないのねえ。だからといって、この20年間で日本がとってきた政策が素晴らしいとは思わないけど*1。
こういうときこそ、世界経済のフロントランナーたる日本(by日銀)がこの20年間の経験を生かして世界経済の手本となるようにさっさと不況を脱出すればいいのに。クルーグマン先生の言うとおりツールはある。あとはこれをうまく使うだけだ。
まあ、日本の為政者(日銀含む)はやる気がないんだろう。大胆な政策をやって失敗するぐらいなら、低いところでとどまっていた方がリスクが少ないもんね(少なくとも自分の生活はそんなに切り下がらない)。何とかケツを引っぱたく方法がないもんだろうか。
とりあえずクルーグマン先生の言うように粘り強く訴え続けるしかないようだ。あとは選挙ぐらい?一般人だとやれることは限られているけど、やらないよりはマシ……と思いたい。
- 作者: ポール・クルーグマン,山形浩生,Paul Krugman
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/07/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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*1:Aが駄目だからBが良いというのは、消去法という詭弁。