くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの40歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

財政再建をするために金融緩和を!というスローガンは無理かなぁ

財政再建で経済成長一時減速(NHKニュース)

IMF国際通貨基金は、財政再建への取り組みが各国の経済に与える影響について報告書をまとめ、経済成長は一時的に減速するものの、各国の中央銀行が金融緩和策を実施することで、その影響を和らげることができると指摘しています。

IMFは30日、日本やアメリカなど先進各国で課題となっている財政再建への取り組みが景気に与える影響について報告書を発表しました。それによりますと、各国がGDP=国内総生産の1%分に当たる財政赤字を削減した場合、2年以内にGDPを0.5%押し下げ、失業率もおよそ0.3%悪化するとしています。一方で、長期的にみれば財政再建を進めることは各国の経済成長を押し上げることにつながるとしています。報告書では、景気に与える短期的な悪影響を和らげるのに、各国の中央銀行が金融緩和策を実施することが効果的だと指摘しています。IMFは、日本をはじめとする先進各国に財政赤字を削減するよう、繰り返し提言しており、財政再建に取り組んだ場合の具体的な影響や対策を示すねらいがあるとみられます。

 NHKニュースは掲載期間が短いのでこちらにφ(..)メモメモ

このNHKニュースのネタ元はIMFこれかな。さらにネタ元のネタはこちらみたい。

 ネタ元のWorld Economic Outlookの第3章と第4章は日本語の要旨が公開されています。それはこちら*pdfファイルです

 日本語の要旨を読んでみると、金融緩和についてニュースで書いてあることと、ちょっとニュアンスが違いますね。要旨を読むと、金融緩和はたしかに財政再建の負のショックを和らげるけど、金利が既にゼロ近辺にあるとその緩和効果は低下するらしいです。うーむ……

 なお、経済セミナー最新号(10・11月号)の特集の中で、飯田泰之先生が「財政再建のタイミングを考える マンデルフレミング効果再訪」で、DSGEモデルを用いて財政再建がマクロ経済に与える影響を分析した結果を載せていますので、興味のある方はそちらもご覧下さい*1

*1:結果だけを見るとIMFの見解とほとんど変わらないと思いました。