くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの40歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

結局は「幸運」だのみなのか?

 参議院で公開されている経済のプリズム最新号の後半で、民間シンクタンクがだした短期経済動向予測をまとめたものが載っています。

2013年4〜6月期GDP速報(1次速報)の概要(参議院 経済のプリズム)


 これをみると、消費税増税が決まった場合、来年の4-6期は駆け込み需要の反動源などで落ち込むが、輸出が維持されてそれ以上の落ち込みはないという予測となっています。今年4月に公表された日銀の展望レポートでも、一時的な落ち込みの後、堅調に推移する見通しを示していますので、経済関係者共通の見解なのでしょう。

 この予測の前提になっているのが、「円安」と「世界経済の堅調」です。「円安」は日本がやろうと思えばできますが、「世界経済の堅調さ」だけは日本でコントロールできない。この図表を見たとき竹森俊平先生の『通貨「円」の謎』の一節を思い出してしまった。

 だが、金融政策で「円安」を導き、TPPに参加したところで、輸出主導の成長が実現できるかどうかは、最終的には世界経済の動向に依存する。(中略)はっきり言えることは、アベノミクスの成功は、小泉構造改革の成功がそうであったように、外部からの「幸運」に依存するということである。     ――第3章 通貨安とV字回復 結論部分より


 実は今回の景気回復局面は民間消費と公的需要が引っ張っている。民間消費に冷や水をぶっかける「消費背増税」や来年度以降の緊縮財政を止めれば、外部からの「幸運」を当てにしなくても景気は回復するのではないだろうか?

 もちろん、外部からの「幸運」(つまり、円安と輸出増(そしてそれに伴う設備投資増))はあった方がいいに決まっている。だけど、それだけを当てにするのはなあ。