くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの40歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

これは素晴らしい試み!

経済学101

設立趣旨
経済学101は経済学に基づいた分析や論説をオンラインで無料で提供することを目的として設立された一般社団法人です。

経済学の基本的なツールを使って身近な出来事を分析したり、最先端の学術論文の概要を紹介したり、専門家による時事問題の分析などを紹介します。また、海外の経済学者、研究機関と提携し、英語の論説の翻訳も提供していきます。

 これは素晴らしい!法人(組織)として、こういうことをやるのはここが初めてではないでしょうか? 

 最近はTwiiterの流行によって短文でのやりとりがメインになってしまい、各人が持っている(知識の)基盤が見えにくくなってしまったように感じます。Twitterでこじれたやりとりを傍目で見ながら「基盤をある程度共有できていたら、ここまでこじれることはなかったんじゃ……」と思うこともしばしば。

 設立者曰く「いまはマクロの翻訳物ばかりだけど、これからはミクロも積極的にやっていく」らしいので、ますます期待してしまいます。やはり、ネット上で実りあるやりとりをするためにはある程度の知識の共有は必要です。「ネット上のやりとりなんて不毛なだけさ」と斜めに構えることもできますが、そうじゃない事例*1を目の前で見ているので「こういう活動は意義がある」と思います。

 さて、実利的な面の期待ばかり述べてしまいましたが、経済学を学ぶ意義はそれだけじゃありません。何より愉しい(笑)。私が経済学を学び始めて何度驚いたことか、総需要が増えなきゃ、みんな頑張っても悲惨な結果が待っている男性器と経済成長率の関係などなど、よそじゃなかなかこういった知的興奮は味わえないね。


 応援エントリーを書こうと思っていたが、私の願望ばかり述べてしまった(苦笑)。当サイトは経済学101を応援します*2




以下余談(というかジジイの愚痴)
 そういえば、この設立趣旨を読んだら、night_in_tunisiaさんの教科書企画の前口上を思い出した。ここから引用。

世の中を見回すと「トンデモ本」が溢れかえっています。何がトンデモなのか、という定義の問題はありますが、自己矛盾に陥っているものはもちろんのこと、そうでないものも僕の経済学の知識に照らして「非常識」なものをとりあえず「トンデモ本」認定し、その反駁に努めてきました。それに対し、何人かの方が再反論を展開し、議論が深まることもありました。

しかしながら、お互いが根拠とする土台を共有していないことからいつまでも平行線を辿るという苦い経験も味わいました。そこで、H.A.さんが我々が土台とする経済学がどんなものであるかを理解してもらおう、ということを発案されましてマクロの本を読む、という企画をスタートさせたわけです。それでは僕はミクロをやろう、ということを思い立ったのが、この企画のきっかけなわけです。

僕は批判をするのなら、まず相手のいっていることを理解しないことには始まらない、と思うので、我々のいっていることを理解し、正しく批判してもらうためには、経済現象を語るための言語としての経済学を(僕達を)批判する側の人たちが知っておいてもらわないといけない、と思うのです。


 このエントリーは約10年前に書かれたものなんだけど、多少はよくなったのかなあ?知識の共有どころか一部先鋭化しているような……。「○○ならばケインジアン!」、「○○ならばマネタリスト!」、「○○ならばリフレ派!」、「○○ならば緊縮派!」ってスパッ、スパッって切り分けられればいいけど、現実はそう単純に切り分けられるもんじゃないしなあ。

 経済学101は理屈と現実の橋渡しを目指しているらしいので、その点も期待しています。


 それと経済学101が想定するメインターゲットってどこなんだろう?今の翻訳ラインナップを見るかぎり、ある程度の知識は必要な気がする。やっぱりある程度の知識は想定しているのかしら?

*1:いちご経済板以降のリフレ派の浸透

*2:もちろん寄付もするよ!