ここ20年ばかりの名目&実質賃金のグラフ
Twitterで目にしたあるツイートをきっかけに20年ばかりの名目賃金と実質賃金の推移をグラフにしてみました*1。今回使用したのは国税庁の民間給与実態統計です。どうして厚生労働省の毎月勤労統計調査を使わないかというと、長期のデータが見つけられなかったから(おい)。国税庁で公開されているデータは長期のデータ(昭和24年からある)がエクセルファイルで公開されているので扱いやすいのです。
また物価指数はGDPデフレーターを用いました*2。
民間平均給与の推移
民間平均給与の対前年伸び率の推移
完全失業率の推移
このグラフから日本は2000年あたりから名目賃金をドンドン下げてることが分かります。名目賃金は2011年には1989年あたりの水準まで下落しています。でも、完全失業率を見てみると高止まりが続いている。なぜ? 要因は実質賃金の高止まりです。名目賃金をドンドン下げてるにもかかわらず、実質賃金はここ20年上昇している。2011年の実質賃金は1989年よりも60万円ほど多い。
たしかに、実質賃金の高止まりは何も悪い面ばかりじゃないでしょう。すでに安定雇用に就いている人は名目賃金の減少こそあれど、実質で見ればここ20年はそれなりに暮らしていけたでしょう。じゃあ、どこが割を食っているのかというと、いま失業している人や高校や大学を卒業してこれから社会に出て行こうとしている若者です。
だから、期待インフレ率を上昇させて期待実質賃金を下げる必要があるんですよね。