くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの40歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

日本でも周波数オークションが行われるみたい

周波数のオークション制度導入へ(NHKニュース)

総務省は2015年以降に実用化が見込まれる第4世代の携帯電話のサービス開始に向けて、より高い金額を提示した事業者に優先的に周波数を割り当てるオークション制度を導入し、国庫収入の拡大を図る方針を決めました。

いわゆる第4世代携帯電話は、現在、国内で主流となっている第3世代のシステムより、高速、大容量の通信が可能で、2015年以降の実用化が見込まれています。そのサービス開始に向けて、総務省は、より高い金額を提示した事業者に優先的に周波数を割り当てるオークション制度を導入する方針を決めました。携帯電話の事業者に対しては、これまで計画に問題がなければ無償で周波数の利用権を与えてきました。しかし海外の多くの国でオークション制度が取り入れられていることから、総務省も手続きの透明性を高めるとともに国庫収入の拡大を図ろうと導入の方針を決めました。ただ、入札価格が高騰して通信事業者の経営を大きく圧迫したり、通信料金の値上げにつながりかねないといった懸念もあるため、総務省は年明けから有識者などで課題を議論し、具体的な制度づくりを急ぐことにしています。

NHKニュースは掲載期間が短いのでこちらにφ(..)メモメモ

 周波数オークションの話は、ティム・ハーフォード先生の「まっとうな経済学」で読んだ記憶があります*1

 「まっとうな経済学」を読むと、周波数オークションの難しさが分かります。つまりオークションのルールに不備があると、参加者がその不備を突いてオークションがまっとうに機能しなくなる。「まっとうな経済学」では、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアが失敗の事例としてあげられていました。成功事例としてあげられていたイギリスの場合も、相当念入りな準備をしたことが伺える記述となっています。

 日本でそこまでちゃんとしたルールが作られるのか、仮にちゃんとしたルールが作られても、いつの間にか骨抜きにされてグダグダになってしまうんじゃないかと思ってしまう私は悲観主義者なのだろうか。

 それと、「オークションの入札価格が高騰すると通信料金の値上げにつながるのでは?」と、心配する人もいるかもしれないけど*2、その心配についてもティム・ハーフォード先生は答えています。ちょっと長いですが引用します。

 この入札に対しては、免許料が高騰したために、その負担が消費者に転嫁されて3Gサービスの価格が非常に高くなるという批判が出ていた。しかし、入札によって3Gサービスは駄目になったのだろうか。次の一文をよく考えてみてほしい。

3G免許が高額になると、通信会社が設定する価格は高くなる

 一見すると説得力があるように見えるが、今しばらく経済学者になったつもりでこの問題を見ていこう。3G免許が格安だったら、通信会社は利用料金を引き下げるのだろうか。政府が免許を無料で割り当てていたら、通信会社は利用料金を無料にしただろうか。(中略)
 本章の第1章と第2章で学んだとおり、企業は、どのような状況下であろうと、価格設定を上限に高める。また、その能力は希少性の力によって制限されることも分かっている。

 たしかに。日本は無料で与えていたとNHKニュースの記事にあるけど、通信会社各社はしっかり利用料金とっているよな。少し経済学を学んだことがある人は、「埋没費用(サンクコスト)」という単語が思い浮かんだはずです。

 というわけでいくら入札価格が高騰しても、それが要因で値上げすると言うことはないでしょう(他の要因で高くなる場合はあるかもしれないけど)。

*1:第7章「本当の価値をなにひとつ知らなかった男たち」で周波数オークションの話題を取り上げられています

*2:NHKニュースにも最後の部分でそれに触れていますね。