くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの40歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

「こんなに使える経済学」読了

本書の章構成(章のみ記載)
第1章 なぜあなたは太り、あの人はやせるのか
第2章 教師の質はなぜ低下したのか
第3章 セット販売商品はお買い得か
第4章 銀行はなぜ担保を取るのか
第5章 お金の節約が効率を悪化させる
第6章 解雇規制は労働者を守るのか 
 毎日新聞やニュースなどで、経済の話題を聞かない日はありませんが、だいたいそこでの話題は「これからの日本のGDP見通しは云々……」、「アメリカの金融政策は云々……」等々ばかりで、一般的に経済の話題はツマラナイと思っている人も多いかと思います。それに関係して経済学はツマラナイ学問である(血も涙もない学問である)、と思っている方もいるでしょう。本書は、そういった経済学のイメージを覆すものとなっています。取り扱っている話題も、「ダイエット」、「騒音おばさん」、「サザエさんの年齢を知る方法」、「抱き合わせ販売のカラクリ」、「相続争いはなぜ起こる?」等々日常的な話題について経済学というメスで切り込んでいる文章が多いです(もちろん真面目な(お堅い)文章もありますよ)。
 本書は雑誌連載が元になっているらしく、執筆者は編者の大竹文雄氏を入れて23人、載っている文章は27本と非常にお買い得感あふれる本となっています。1本当たりのページ数も5〜6ページに収まっていて、空き時間に気になる部分だけをさくっと読むことができます。
個人的に気になった文章をいくつか

  • 肥満の人は時間割引率が大きい傾向がある。つまり肥満の人は将来のリスクよりもいまの効用(満足)を重視する傾向があるので、我慢できずにばくばく食べてしまい、太る。
  • 教師の質が下がったのは、女性の雇用機会が拡大したから。つまり昔は女性が就く職業が限られていたため、優秀な人物が教師になる場合が多かったのだが、現在は女性の雇用機会が増え優秀な人物は教師ではなくもっと上の職を目指すから。
  • 容姿が優れている人は、賃金が高い場合が多い。しかし、容姿の情報がないとさらに所得が低くなる(これを読んでレーヴィット「ヤバい経済学」の出会い系の話を思い出してしまった(笑))。
  • 日本の貯蓄率低下の原因は、年齢構成の変化で説明できる。
  • p148のイギリス、アメリカにおける周波数割り当てオークションの話題はティム・ハーフォードの「まっとうな経済学」第7章「本当の価値をなにひとつ知らなかった男たち」に詳しくのっていますので、そちらも是非。

 こういった本を読んでいると、ますます経済学が好きなってしまうなぁ。いいことだ(笑)

こんなに使える経済学―肥満から出世まで (ちくま新書)

こんなに使える経済学―肥満から出世まで (ちくま新書)