目次
第1章 アメリカの肥満
第2章 世界に広がる肥満
第3章 肥満を生み出す社会環境
第4章 健康を蝕む肥満
第5章 肥満と労働
第6章 肥満をどう克服するか
体重89kg、身長175cm、BMIは約29と、私は、誰もが認める肥満者だ。先日入院したときも、管理栄養士の人から「痩せろ」ときつく言われました(o´∀`o)ハハハ…… そんなこともあってか、先日本屋で目についたのが、本書、「肥満の経済学」です。
本書は、まず肥満体国と言われるアメリカの現状を描き、世界(日本含む)の肥満事情を述べていきます。そして世界で肥満者がなぜ増えるのかという理由を述べ(先進国に限るけど、圧倒的に食料が安く手に入るようなった&あまり運動しなくてもいい社会になったから)、肥満者が生み出すコスト(社会保障や企業の負担が増える)を明らかにします。
そして、本書で圧巻なのは第5章「肥満と労働」でしょう。ここで、筆者は様々な調査を引用して、肥満者は肥満でない人に比べて、労働待遇(採用、昇進、賃金等)が悪い(体重差別がある)と主張しています。私がこの章で、「へえ」と思ったのは、肥満者は労働待遇で差別を受けるので、それを補うためにより危険な仕事、より専門的な仕事に就く割合が多いという箇所です。つまり、肥満者は肥満でない人に比べて賃金が低いので、それを補うように給与が高い(リスクプレミアムがある)仕事に就く傾向があるらしい*1。また、肥満者は、企業に採用されにくいので、自営業に就く人も多いらしいです(って本当かしら?)。
第6章は、各国の肥満への取り組みを紹介しつつ、日本はどう対策をすべきかということを述べています。今のところ日本は、肥満小国ですが、世界の流れから今後肥満者が増える可能性が高い。よって、今のうちから対策を打っていこうと筆者は主張しています。ここでは、アメリカの事例を紹介していますが、個人の問題と言うより社会環境の問題ととらえ対策を打っている(広告規制とか啓蒙活動等)点が印象的でした。
本書は、序文で筆者が書いているように、「社会人、大学生のための教養書」という面が強く、専門的な書き方ではなく、くだけた口調でとても読みやすい部類に入ると思います。また、章末には、たくさんの参考文献や引用元があげられていますので、これをとっかかりにこの方面の勉強をしたいという方にも最適だと思います*2。