くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの40歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

岡山ESDカフェ第4回「うな丼の未来」に参加しました

 先週の木曜日に岡山ESDカフェに参加しました。今日の講師は海部健三先生*1。ウナギの生態から、現状、対策など、約1時間に渡って手際よく説明してくださいました。

 で、感想なのですが、暗澹(あんたん)たる気持ちになりました。私はフォローしてませんが、私のTwitterのタイムラインに三重大学の勝川俊雄先生の漁協や消費者に対する手厳しいツイートがたまにRTされてきます。いままでは「そこまで厳しくいわなくてもいいじゃん。もっと穏当に言って物事を進めればいいのに」と思っていましたが、この講義を聴いてからは「ま、勝川先生の怒りも分かるな」と思うようになりました。講義の内容をまとめると、

 漁獲量のデータは漁協によるアンケート方式で、データの信頼性に疑問がある&そもそもデータが足りないので正確な資源量は分からない。ただ、ウナギが減少しているのは事実。要因としては、海洋環境の変化、ウナギ漁(特にシラス漁)、河川環境の変化が考えられる。

 ニホンウナギだけじゃなくて世界中のウナギが減っている。今年に入ってIUCNでウナギをレッドリスト入りするかどうかの検討会議が始まった。検討会議に載ったと言うことは何らかの判断が下されるということ。IUCNのレッドリスト入りそのものはなんの拘束力もないが、CITES(ワシントン条約)のリストに載せる際の判断材料にされるので間接的には影響がある。

 ウナギ減少のためにいろいろな対策が行われているが効果は不明*2。ウナギの業界団体も資源管理のために漁の自粛を呼びかけているが、彼らが自粛を呼びかけている対象はあくまで成体のウナギ。シラス漁を自粛しようとは言わない*3水産庁(政府)は漁業の経営を第一に考えていて、資源管理についてはあまり真剣に対応してないフシがある。

 消費者側はどうか?今のような大量消費が始まったのはウナギの養殖技術が確立した1970年代以降(特に1980年代以降からすごい増えている)。今のように誰も彼も夏にウナギを食べるようになったのはつい最近の出来事。→消費者の意識の変化も必要なのではないか?等々


 
 どうすればいいんだろう?漁業資源の管理の難しさは「共有地の悲劇」で表せる。これに対処するためには政府が介入して、適切な資源管理をする必要があるんだけど、水産庁の対応を見てみるとあまりやる気ないのかなあとおもったり。個人(消費者側)ができることってあるのかなあ?食べないことぐらい?うーむ。

*1:予想に反して(?)ごっつい先生だった

*2:たとえば、ウナギの放流は40年ぐらい続けられているらしいが効果の検証は行われていないらしい。

*3:なぜ言わないか?それはその業界団体が主に養殖業者や小売り業者によって成り立っているから