日本国債の信用度を示す格付けを1段階引き下げたアメリカの大手格付け会社「ムーディーズ」の担当者が、24日午後、記者会見し、日本は速やかに財政再建に取り組むべきだという認識を示しました。
24日午後、東京都内で記者会見したムーディーズの担当者、トーマス・バーン氏は、今回、日本国債の格付けを引き下げた理由について、頻繁な首相の交代が財政再建を妨げているとしたほか、東日本大震災や原発事故による電力不足で景気回復が遅れているなどとしました。そのうえで、バーン氏は「日本政府の政策の実行能力が確かでなく、社会保障と税制の一体改革も目標を示しただけで進んでいない。適切な財政運営を実施しなければ、日本の財政状態は一段と悪化するおそれがある」と述べ、日本は速やかに財政再建に取り組むべきだという認識を示しました。また、バーン氏は今後の格付けの見通しについて、「日本は先進国の中では最大の対外資産があり、信用力は当面維持されると考えている。しかし、社会保障と税制の一体改革の実施が遅れる場合などには格付けを引き下げる方向で見直すこともありうる」と述べました。
NHKニュースは掲載期間が短いのでこちらにφ(..)メモメモ うーん、次にロイターのニュースを貼るけど、NHKニュースから受ける印象とはずいぶん違う。
UPDATE2: 日本が債務を管理可能とするには名目成長率3%が必要=ムーディーズ幹部(ロイター)
ムーディーズ・インベスターズ・サービスのソブリン・リスク・グループ・シニア・ヴァイスプレジデント、トーマス・バーン氏は24日、ロイターのインタビューで、日本が債務を管理できるようになるには、構造改革を通じて、年3%の名目国内総生産(GDP)伸び率を達成する必要がある、との見方を示した。また、消費税率を2010年代半ばまでに10%に引き上げる政府計画は財政健全化には不十分、と指摘した。
同氏は、日本の格付けを12─18カ月のうちに変更する計画はないと表明。日本の投資家の国内志向に変化は見られない、とも述べた。
同氏は日本経済について「生産性向上が重要になる。さまざまな供給面の対策を講じる必要が出てくるだろうが、日本の生産性が向上すれば、名目GDP伸び率3%の達成は可能になるだろう」と語った。
消費税率を2010年代半ばまでに10%に引き上げる計画については、少なくともプライマリーバランスの赤字を対GDPで約3%に半減できるだろうが、消費税率10%ではそれ以上の成果は望めない、と指摘した。
円高については、日本経済にとって逆風、との見方を示した。そのうえで、現在の状況は厳しいが、悲惨というほどではない、と述べた。
ムーディーズですら、安定的な債務管理には3%程度の名目成長率が必要と認識している*1。NHKニュースはそれには触れていませんね。ただ、「速やかな財政健全化が必要」と伝えるだけ。日本だと、財政健全化=増税が一般的な社会通念だからなぁ。安定的な債務管理にはいくらかの名目成長が必要と言うことも言ってほしいものです*2。