くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの40歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

「『聖夜』は『性夜』」なのか?

エントリータイトル修正および注釈を追加しました(2012/2/10 7:23)

クリスマスには、お二人のようなたくさんの夫婦や恋人が、ブランデーの力を借りて二人の愛を確かめあうことでしょう。私も、私の父も、女兄弟も、その夫も、その息子も、みんな九月生まれです。あなただけではないのです!
   ――ティム・ハーフォード『まっとうな経済学者のお悩み相談室』より

 クリスマスまであと10ヶ月もあるんだけど、ティム・ハーフォード先生の本を読んでいたら思いついたのでいまやっちゃう。そういえば、バレンタインデーも近いしね。まったく季節外れというわけでもあるまい(笑)。

 クリスマスになるとネット上では、「『聖夜』は『性夜』」といった言説や、「性の6時間」というコピペが出回ります。「性の6時間」コピペとは以下のようなもの。


アンアン
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12月24日の午後9時から翌25日の午前3時までの6時間は
1年間で最もセックスをする人の多い「性の6時間」です。

貴方の知り合いや友人ももれなくセックスをしています。
普段はあどけない顔して世間話してるあの娘もセックスをしています。
貴方が片想いしているあの綺麗な女性もセックスをしています。
貴方にもし年頃の娘さんや姉・妹がいて、いま家にいないのでしたら間違いなくセックスしてます。
貴方と別れたあの娘も貴方がその娘にやってきたことを別の男にやられています。
貴方の将来の恋人や結婚する相手は、いま違う男のいちもつでヒィヒィ言っています。
すべてを諦めましょう。そして、ともに戦いましょう。

 さて、これらの言説の真偽をどうやって確かめましょう?ひとつの方法として、「男女の営み」で、できてしまう「赤ちゃん」に注目する方法があると考えられます。というわけで、厚生労働省の人口動態調査を確認。

4-2 月別にみた年次別出生数及び率(人口千対)(政府の統計窓口)*csvファイルです

 月ごとの出生数は次の通り*1

 これをグラフにすると次のようになる(今回は2006年から2010年の5年平均を用いた)。

 あんまり変わらず、どの月も安定してますね。……と、早合点するのは間違い。月ごとに日数が違うんだから、「1日当たりの出生数」で見た方が、より正確でしょう。というわけで、月ごとの1日当たり出生数を計算して描いたグラフが次です*2

 こっちもあまり変わりませんね*3。うーん、これじゃ各月の差がはっきりしないので、ちょっと目盛をいじってしまいましょう(詐欺テクニック)。各月の差がはっきりするように目盛を調整したのが次のグラフです。

 おぉ、このグラフだと各月の差がはっきりしますね。グラフをみると、たしかに9月生まれ(12月にしたと推測される)が多いなぁ。

 7,8,9,10月(10,11,12,1月)のひとり当たり出生数が多いのは、秋祭りやクリスマス、そして新年等、男女が盛り上がるイベントがあるからだろうか?逆に、3,4,5月(6,7,8月)のひとり当たり出生数が少ないのは、「男女の営み」をしようにも、じめじめして暑いから?*4
 どーなんだろうなぁ。

結論
 大ざっぱに言って各月の出生数は安定しています。よって、出生数からでは12月が『性夜』と言えないでしょう。まぁ、たしかにひとり当たり出生数は一番多いのです。それでも一番少ない月と比べて300人ぐらいだからなぁ。そこまで断言できるほどの数とは言えないと思う。

*1:月の横に括弧で書いてある月は「男女の営み」が行われたと推測した月です。日本では、「十月十日」と言われますが、今回は、ティム・ハーフォード先生にならい9ヶ月で計算しています。

*2:大の月は31日、小の月は30日(2月は28日)で計算しました

*3:というか、単に出生数を比べたグラフより差がなだらかになっている

*4:話が横道にそれるけど、昔は夏場の出産は少なかったらしいという話をどこかで読んだ記憶がある。昔の農村部では、農繁期で人手が減るのを避けるために夏場の出産を避けていたとか。