くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの41歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

ymScott氏が消えてしまった。

追記(2012年9月6日 07:44)本人が引退って言ってないのに引退と書くのはなんか違和感があったので、エントリータイトルを「消えてしまった」に変更。あと、若干の文章修正。
 

 
 最近、TwitterでymScott氏のツイートを見かけなくなってしまったなあと、思って調べてみたら、Twitterのアカウントが消えていた。しかも、Twitterだけでなく、はてなのアカウントも消えている。

Scott's scribble - 雑記。(はてなダイアリー)

 少し前に、Twitterで「最近ネットをやる利点がだんだんなくなってきた。これからどうしようかな*1」という意味合いのツイートをしていたのであまり驚きはありません。……ありませんけど、やっぱり寂しい。

 ymScott氏とリアルでの面識はなく、ブログのコメントやTwitterで何度かやりとりをしたぐらいですが、氏のブログやtwitter上での意見は鋭く、いつも考えさせられたものです。

 ここ15年ぐらいでネットユーザーは爆発的に増えたけど、ネット上で定期的に自分の意見をブログなりTwitter上で述べる人は少数派だと思っています。その数少ない人の中で自分のお気に入りの人がアカウントを消されてしまった。寂しいものです。

 

 氏は「ネットをやる利点がだんだんなくなってきた。」と述べていた。ネット上の利点ってなんだろう?

 やっぱりそれは「匿名で自分が思っていることを自由にいえる」ことだろう。どんな場所に住んでいようとも、どんな職業に就いていようと、男だろうが女だろうが、ガキだろうがおじいちゃんだろうが、そんなこと関係なく自由に自分の意見が言える場所。それがネット――もっといえば、氏が言っていたようにかつての2ちゃんねる――だった。

 もちろん、昔だって荒らしや煽りは当然あった。いまでいう炎上事件――昔は祭りなんて言っていたなあ――もありました。場所によってはかなり殺伐なところもあったし、暴言飛び交っていた。「回線切って首吊って氏ね」とかね。

 だけど、昔はネットとリアルが結構分離してたもんね。どんなに煽られようがパソコンを切ってしまえばリアルに影響を及ぼす可能性はほとんどなかった(もちろん住所や名前をさらしていた場合は別)。だから、けっこう自由(気楽)に意見がかけた。

 でも、最近のネットサービスはどんどんリアルとの関係性を強めていった。もちろんいまでも気をつければ個人情報を自分でコントロールすることも可能だろう。だけどちょっと脇の甘い友だちがいて、その人がSNSなんかで自分との関係性をオープンにしていたら?そこから足が着く可能性がある。そして勤め先や通学先がばれるかも?そして何かのきっかけで自分のブログなりTwitterで炎上でもしようなら、勤め先や学校にバンバン抗議電話が来るかもしれない。そうなったら普通の人は死活問題だ。

 自意識過剰?でも、最近はちょっと事件があると被害者だろうが加害者だろうが、あっという間に熱湯上に公開されている個人情報がさらされてしまう。もちろん、「ネット上に無防備に個人情報をさらす方が悪いんだよ」という意見はあるけど、それでもやっぱり怖い。

 こうしてみると、最近は自分の意見を表明する場合、慎重にならざるを得ない。自由に意見が言えて、議論ができると思っていたネットがいつの間にかずいぶん窮屈なものになっている。氏の「ネットをやる利点がだんだんなくなってきた。」という発言の意味はそういうことじゃないだろうか?

 

 経済学の用語に「機会費用」という言葉がある。機会費用とは「何かの本当の費用はそれを得るためにあなたがあきらめなければならないもののこと」だ*2

 仕事や家庭がある場合、「ネットで議論をする」という機会費用は上昇する。コメント欄でいろんな人の相手をするというのも機会費用の上昇要因だ。ymScott氏は結構有名なアカウントだったからその機会費用たるはすごかったのだろう。この機会費用を下げることはできないのかなあ。そうすれば氏が復帰するかもしれない。

 いや、それはこちらの勝手な願望だ。

 というわけで、ymScottさん長い間お疲れさまでした。ymScottさんがこのままネットをやめるとは考えられません。おそらく名無しで活動されるのでしょう*3。私はまだまだブログやtwitterを続けていく予定ですので、またネット上のどこかで会えたらよろしくお願いします。

*1:正確な発言ではありません

*2:クルーグマン ミクロ経済学』より

*3:2ちゃんねるに戻るのかなあ。でもいまの2ちゃんねるは……