いつもの日銀節
たまたま日銀のサイトに行ったら、昨日日本記者クラブで白川総裁が講演した内容が、アップされていたので読んでみました。
「日本経済とイノベーション」(日本銀行)*pdfファイルです
デフレを「成長期待の低下という日本経済が抱える根源的な問題が、集約的に現れた現象」と定義し(5ページ)、過去の生産性成長率および労働力人口を振り返り、この2つの指標の低下が成長期待の低下につながっていると述べ。よってデフレ脱却には、この要因に働きかける必要があると、まあ、いつもの日銀節ですが*1、私が一番驚いたのが次の部分。
それは、10ページから始まっている「公的当局の役割」という部分。ここでは、民間のイノベーションを阻害しないように、公的当局(つまり政府と中央銀行)はマクロ経済の安定に努める必要がある。と言うようなことが書いてあるのですが……少し長いですが引用。
ただし、セーフティ・ネットの整備やマクロ的な景気安定化策は、経済に一時的に大きなショックが加わった場合には、望ましい有効な施策ですが、行き過ぎると、経済の新陳代謝を阻害し、却って生産性を低下させる危険性もあります。それだけに、公的当局には難しいバランスをとって政策を行うことが求められます。この点で、欧州における今回の出来事を巡って様々な議論が行われています。リーマン・ショック以降、多くの国が行った積極的な財政政策は経済の急激な落ち込みを防ぐ上で大きな効果を発揮しました。
あれ?各国中央銀行が行った大規模な金融緩和については、触れなくていいの?んー、たしかにこの後に、「財政政策は打ち出の小槌ではない」、「財政の維持可能性に対する信認は非常に重要」と言う文章が続くので、ここで金融政策に触れると、日銀が言いたいこと(「国債の信認に傷がつく!」)がぼやけてしまう可能性があるので、あえて触れなかったのかもしれない。それにしてもねえ。日本銀行は、金融緩和について触れて欲しくないのかしら(笑)。
後半にようやく金融政策の話題が出てきますが、いつも日本銀行が、言っていることなので割愛。