くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの40歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

中国は間違えんでしょう

景気対策の大規模化も考えられる中国経済の現状(Klug View)

今年4-6月期の中国の実質GDP成長率は、前年同期比7.9%増と、前期(1-3月期)の成長率(6.1%増)を大きく上回りました。中国の成長率が前期を上回ったのは2007年4-6月期以来、2年ぶりのことです。成長率も、ようやく上向き始めたことも考えると、中国当局が、様子をみながらも、金融政策を引き締め方向に舵を変える可能性は高まったといえなくはありません。

ただ、6月の中国の消費者物価指数は、前年同月比1.7%の下落と、5カ月連続のマイナスとなり、下落率は、1999年6月(同2.1%)以来、10年ぶりの大きさとなっています。また、6月の工業品出荷価格(卸売物価に相当)も、同比7.8%の下落と、7カ月連続のマイナスとなり、下落率は統計データをさかのぼることができる1990年代半ば以降で最大です。

あれだけやっても、物価が下がり続けているとは……

今後、中国当局は、2つの選択肢があります。一つは、市場関係者が考えるように、成長率の様子を見ながらも、金融引き締め策を徐々に強めることです。物価が下がるくらい需要が弱いわけですから、このまま金融緩和策を続けても、拡大したマネーは実体経済流入せず、不動産などの資産に流れるだけです。資産バブルをこれ以上進めないためにも、緩やかながらも金融を引き締めるのは自然といえます。

ただ、中国当局には、もう一つの選択肢があります。それは、物価が下がるくらい需要が弱いのなら、景気対策の規模をさらに大型化し、金融緩和策も続けることです。中国政府は、すでに4兆元の景気対策を発表しているため、景気対策の規模をさらに大きくすることを疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、中国には2兆ドルを超える外貨準備があります。中国にとって、ここまで拡大した外貨準備を保有し続けることは、ドル下落リスクを抱え続けることになります。このリスクを低下させるためにも、外貨準備を使って景気対策を強化することは、金融引き締めを検討するのと同じくらい自然なことのように思えます。

中国は、後者の選択肢を選ぶと思いますよ。だって、すぐ近くに前者よりも過激な選択肢を選んでここ20年ぐらいどん底の島国があるんですから。ちなみに、その島国どん底具合はいまだ現在進行形です……