くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの40歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

上昇幅は大きいけれども……

 ちょっと古いニュースですが、鉱工業生産指数のニュース。

5月の鉱工業生産指数、前月比5.7%上昇 史上2番目の伸び率(J-castニュース)
 このニュースを見た時、以前紹介した「リスクリテラシーが身につく統計的思考法」に、書かれていたある文章を思い出しました。

損失を利益に見せかける方法

 あなたの企業の収益はこの三四半期ほど大きく増減してきた。張り切り屋のアシスタントがこの期間の売上げをグラフにまとめたのだが、これを見ると全体として売上げは減少した。この損失を表に出せば株主の一部が動揺するだろう。(略)どうするべきか。

 グラフを公表するのではなくて、言葉で説明すればいい。1月から5月までは残念ながら売上げは50パーセント減少したが、これは市場の低迷によるものである。しかし、いろいろと対策を講じた結果、当社はこの減少を回復することができた。5月から9月までに、当社の売上げは60パーセント増加した。こう発表すれば、最初の5ヶ月の落ち込みもその後の急増によって影が薄れる。

 発表では全体の実績は良かったように受け取れる。60パーセントは50パーセントより大きいからだ。実際には最初の50パーセントは50万ドルであり、次の60パーセント増加は30万ドルに過ぎないのだが。
                                12章 数字オンチはどう搾取されるか

 ちなみに説明で使われたグラフはこれ。グラフを見れば一発で全体の売上げが減少していることが分かります。


 では、鉱工業生産指数はどうでしょうか?みてみましょう。


 たしかに急上昇していますが、2005年の水準にはまだ達していないことが分かるでしょう。史上2番目の伸び率はいいニュースです。しかし、まだまだ楽観できない状況ということも胸にとどめておく必要があるでしょう。

 今日は、鉱工業生産指数を引き合いに、統計でうまくごまかすテクニックを紹介しました。今回のテクニックはいろんな所で見かけると思います。見破る方法としては、「グラフを確認する」、「パーセントより実数を見る」が、挙げられるます。これぐらいは常識だったかな(^_^;