くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの40歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

農業の構造転換を阻んでいるもの

NHK解説委員室より
時論公論「穀物価格高騰とコメ余り」
リンク先の文章は、国外の農産物(小麦やトウモロコシ等)価格の高騰と国内のコメ価格の下落にふれ、こうした状況を解消するためにコメ中心の生産構造からの構造転換を推し進めるべきと書いてあります。私もこの考えに賛成なのですが、この文章でふれてない点があります。それは

農業補助政策(稲作に限定するならコメの価格維持政策)*1

どうしていままで農家がコメばかり作っていたかというと、コメの価格維持制度があったため生産量にかかわらず一定の所得が見込めたから。そしてその結果、コメ余りが発生する。こういった事例は経済学では下限統制の典型的な例としてあげられます。

このような場合なかなか構造転換は進みません。だって、コメ作っていればある程度補助金が入ってくるんだもん。もちろん、最近は補助金も減ってきていて中小農家の経営は苦しくなってるけど。でも、日本の農家の約8割は兼業農家だしなぁ*2

というわけで、農業の構造転換を強く進めるためには、農業補助金の削減もセットで行う必要があるでしょう(ま、いまもやってるけどね)

*1:この価格維持制度も近年ずいぶんと変わってきているけど(もちろん補助金をなるべく削除する方向で)

*2:2005年の農業センサス(http://www.maff.go.jp/census/)によると、日本農家全体のうち専業農家は約20%、兼業農家は約80%。さらに兼業農家は農業所得を主とする第1種兼業農家と農業所得を従とする第2種兼業農家に分けられる。こちらの割合も約20%と80%になっている。つまり日本農家全体では、約64%の農家が農業所得を従とする兼業農家であるといえる